今更だが、俺はこいつが大嫌いだ。
いつも変なことばかりやらかして、
かと思えばこうして無理矢理人の上に乗っかってくるような真似をしやがる。
「シェゾ」
身体の線を辿っていたサタンの手が腰に止まり、耳を食みはじめた。
ぴちゃ、と生々しい音が近くで響いてすごく耳障りだ。
耳元で舌を動かされているから当たり前なのだが。
蹴りの一つでもいれてやりたい。しかし上手く押さえつけられていて身動きはとれそうもなかった。
嫌悪感から強く目をつぶると、視覚のかわりに聴覚が冴え
さらに音がよく聞こえてしまうが、サタンの姿が目に入らないならそれでいい。
仕方ない仕方ない。こういうときは早く終わることを祈るしか。
それを見てサタンがシェゾの耳元から顔を離した。
「シェゾ、おい」
「なんだ」
サタンに呼びかけられ、シェゾが薄く目を開ける。
「今日も抵抗しないのか」
「してほしいのか?」
「嫌。なんだろう」
「そりゃな。今すぐ退いてほしいくらいだ。退いてくれるか?」
サタンはその問いには答えず、無言でシェゾの服に手をかけた。
服を脱がされていく光景を目にして再びシェゾが目を閉じる。
身体の力を完全に重力に任せれば全てどうでもよくなる。
これは愛や情なんてものは一切ないただの慰みあい。
その虚無な戯れの相手をしているサタンも、させられている自分も。
嫌いなくせに。嫌いなはずなのに。
私は。
俺は。
(何をしてるんだろうな)
その疑問に答える者はいない。
お互い死ぬほど嫌いあってるCPっておいしい。ぱくぱく、ふぅー。
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