しかし数日後アルルとルルーと一緒になぜかサタンの元に向かうことになる。

「お前は本当にコーヒーが好きだな」
「そういう貴様は本当にカフェオレが好きだな」

サタンに呼ばれたシェゾは客室でミルクの入った甘いカフェオレを飲んでいた。
対するサタンはほろ苦いエスプレッソ。

今日は特に用事があるわけではないが、
サタンが暇だからとシェゾは半ば強制的に城に連行されたのだった。

隣にいるやつは気に入らないがカフェオレは美味い、とシェゾはサタンをちらと見やる。
ふと、思いついたように問いかけた。

「なあサタン」
「なんだ」
「そのエスプレッソ、80杯位飲んだらどうなるんだ?」

サタンは一瞬の間をおき、コーヒーの入ったカップをテーブルに置く。
何の感情もないように静かな言葉で答える。

「…何が言いたい」
「コーヒーで死なないのかと」
「あいにく私は普通の体じゃないんでな」
「そうか、つまらないな」

そうだ、サタンは人間じゃない。
何気に質問したシェゾだが、そもそもコーヒーを80杯飲むこと自体現実的じゃない。
自分ながら変な質問をしてしまったとカフェオレをすする。

サタンはその様子を見るとほんの少し嘲笑の入った微笑みを浮かべる。

「貴様は…死ぬだろうな」

シェゾは、人間だ。
人間の道を外した人の子。
しかし、首を切られても生きられる彼の生命力や回復能力は普通ではない。

彼がコーヒーを致死量飲めばどうなるだろうか。
しかしシェゾはしっかりと凜とした声で答えた。

「…残念だが、俺はコーヒーなんかで死にはしない。カフェオーレ派だからな」
「…そうだな」

サタンも無駄な質問をしたとコーヒーをあおる。
部屋の中はまた静かになった。

ゆっくりと感じる時間が流れる。
こんな時間も悪くないと無意識に思っているのはどちらだろうか。
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