「どうしたらサタン様に振り向いてもらえるのかしら!」

とある喫茶店で机をグーで叩きながらルルーが叫ぶ。
幸いにも周りに人はいなかったのであまり注目は浴びなかった。
ルルーの他にはアルルを含み、ウィッチとドラコが座っていた。

「ちょっとルルー、そんなに机強く叩いたらあたしのコーヒーこぼれるじゃないか」

コーヒーが零れていないか確認するドラコ。
そんなドラコにはお構いなしにルルーがアルルの方を向く。

「アルル!あなた、よく考えたらサタン様に振り向かれっぱなしじゃない?」
「えっ…うんまあ」

アルルは答えながら微妙な表情を浮かべる。

「私はこう考えたの。
 まず何をするにも敵の情報を知らなければ勝てない、と」
「うん、それはあたしも最もな意見だと思うよ」

ドラコもルルーの意見に賛成した。
そして二人はアルルの方を凝視する。

「だからアルル!どうしたらサタン様に振り向かれるのか教えなさい!」
「知らないよ。向こうが勝手についてきてるんだからさ」
「じゃあ何でサタンはアルルにばっか構うの!あたしの方が美少女なのに!」

あっという間に喫茶店の一角の席は大喧騒となる。
遠くで店長らしき人物が苦笑いのような困惑しているような顔をこちらに向けている。

(サタン様…隅に置けない方ですわね)

そんな状況の中一人でずずっと音をたてて紅茶を飲むウィッチ。
ウィッチは3人が騒いでいる間、頭の中でいろいろ分析していた。

(知らぬが仏…いや、言わぬが花でしょうか)

ウィッチはサタンとシェゾの間柄を話すべきか迷ったが、
話せば収集つかないほどにこじれるのは誰でも分かることだった。

ウィッチはこのまま何も言わずこの状況を楽しむことにした。

(うふふ…私が今ばらしたらどうなるのかしら、あの二人)

言わないけれど言った後の状況も見てみたいものだと。
ウィッチは何食わぬ顔で心の中でほくそ笑む。


「…?寒気がする…」

サタンはその日一日やけに寒気がした。
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