小さい頃、闇が恐かった。
真っ暗で何も見えなくて、森で迷った時も
このまま消えてしまうかもしれない恐怖感が今でも鮮明に思い出せる。


「あのさぁ、君っていつも僕の魔力がほしいという割りにさあ」

全然勝ててないよね?

おじゃまぷよに潰れた状態のシェゾの前に立ちながらそう言うと彼はとても悔しそうにこちらを見る。

今日もいつも通りの一連の流れの後ぷよ勝負に至った訳だ。
そして今日もシェゾは勝てなかった。

「っく…その力…ますますほしい………」
「はあ…シェゾ」

倒れているシェゾにそっと手をさしのべる。
つかまれ、との意味だ。

「…何を考えてるんだ」
「ほら。その状態だといつかぷよぷよになるよ?」

半ば強引にアルルはシェゾの手を引っ張りあげ、体を起こす。
シェゾは人の助けで起こされたのが嫌だったのか不服そうにアルルを睨む。
そんなことも慣れっこなのかアルルはシェゾにしてやったり、と勝利の笑みだ。

「よーしシェゾが負けたから今日はおごってもらおう!カーくん!」
「ぐっぐー♪」
「えっ、ちょっと待て。何で俺がお前に奢らなきゃいけないんだ」

シェゾが戸惑いを見せるが、アルルはしっかと手を握っているので逃げられない。
逃げる間もなくアルルはシェゾを引っ張る。

「アルル」

油断していた。
シェゾの腕を引っ張ると、それを利用してアルルに接近したのだ。
いきなり近くなった距離にアルルは一瞬驚く。

「分かっているのかアルル?俺はお前…が欲しいんぞ?」

『魔力』が抜けているが、互いの体が妙に近い今この状況では本当にそういう意味でも聞こえそうだ。
普通ならここで若き乙女達は(顔だけは)かっこいいシェゾに魅了されていることだろう。
ある意味淫魔より質が悪い。

「まあそれはそれとして今日はシェゾの奢りね」

しかしこのアルル、プロポーズに近い状況をさらっと流してしまった。
扱いに慣れているのが読み取れる。

「商店街にレッツゴー!」
「腕を引っ張るな!話を聞け!」

今度こそシェゾを引っ張り商店街のスイーツ屋に連行していくアルル。
とはいえ、彼のお財布は結構健気なのは知っているので
カフェオーレを一緒に飲むくらいで留めておこうとアルルは微笑む。


…小さい頃恐かった闇、今はそんなに恐くないかな。
だって、君はこんなにも―

―――――

シェアルっぽいけどぷよぷよ項目に載せました
シェゾとアルルの絡み増えたら項目作ろうと思います
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