「おめでとう!****、よかったね!」
「ようやくお前も一人前だな」
周りの溢れんばかりの人に祝福される一人の少女。
いや、少女と言うには少し成長しているかもしれない。
長い金髪に昔と変わらない紺色のワンピースを着こなすその少女。
「ありがとうございます、みなさん」
おしとやかに笑うその笑顔はいっぱしの女性だった。
ウィッチと呼ばれていたその女性はちきれんばかりに
大きい拍手と喜びの声と祝福を受ける。
今日、ウィッチの名前を捨て一人前の魔女になった。
新しい名前は可愛らしいとっても素敵な名前。
何もかもが嬉しさに包まれているように思える。そう思えた。
「あら、シェゾさん」
「よお」
楽しい宴も酔っぱらいが溢れてきたころ。夜風に当たろうとシェゾがベランダに出るとそこには****がいた。
「お前も風に当たりに来たのか?」
「ええ。騒がしいのは好きですが…今回は特に大騒ぎですわ」
「それだけお前の成長が嬉しいんだろ?」
改めて、自分がどれだけ想われていたかが分かった。
一時期友達が少ないと嘆いたこともあったが、こんなにもよい仲間に巡り会えた。
そしてその仲間がいつも呼んでくれたあの名前…
ウィッチが話を切り出す。
「シェゾ、さん」
「なんだ」
「私、この名前似合ってます?」
シェゾが****を向いた。
満面の笑みとは違う、どこか含みを効かせた笑みを浮かべている。
昔のウィッチにはできなかったに違いない芸当だ。
シェゾはその事実に成長を感じる。
だからウィッチではない新しい名前もそれにふさわしい。
「ああ、****」
シェゾは新しい名で呼んだ。
その瞬間、****は寂しげな表情に変わった。
「…どうした?」
「いえ」
****がベランダの柵に手をおき、夜空を見つめた。
夜空の星は連なって綺麗に輝いている。
「嬉しいはずなのですが…なんだか寂しいですわ」
「………」
「今まで散々アルルさんやシェゾさんにワガママを言って、つまらない意地を張って助けてもらったりしたウィッチはもういないって」
(ウィッチ!またキミは実験でとんでもないものを!)
(ちょっとウィッチ!サタンさまにこんな薬飲ませられるわけないでしょ!)
(ウィッチ!ウィッチ!ウィッチ!)
「これからみなさん私のことを****と呼ぶんですもの…なんだかウィッチがいなくなってしまったようで寂しいですわ」
「ウィッチ」
ふいに、ウィッチと呼ばれてつい****がシェゾを見る。
その言葉はすとん、と心の中に入り、懐かしい響きを思わせる。
シェゾは****から視線を外すと、ゆっくり言葉を紡いだ。
「言っとくが、俺はまだまだお前を一人前とは思ってない」
「シェゾ?」
「世界にはいろんな謎も知識も溢れてる。長年生きてる俺だって、まだ世界には飽きていないんだ。
サタンほど生きればもうわからんが」
そしてシェゾが微かに笑った。
「それに、この間薬の調合を失敗したのが店の外から見えた」
「ま、…あれを見てたんですの」
「まあな」
夜の風が二人の肌をなぜる。
高揚と火照った身体にそれがとても心地いい。
数瞬の間をおいて、シェゾが言う。
「だからなんだ、お前はまだまだ甘いところがある。人前でないなら…ウィッチと呼んでやらなくはない」
「シェゾ…」
まだまだ自分は、シェゾの前では半人前の魔女なのだ。
その事実に不思議と、ウィッチは嬉しかった。
それでもウィッチは、もう半人前じゃないということをシェゾに伝える。
自分はもう立派な一人前の魔女なのだから!
「ふふっ。ウィッチと呼ばれるほど私はひよっこじゃありませんことよ」
「へえ。最近まで俺に泣いてすがってたくせnぐはあっ!!」
「~~~バカッ!!」
ウィッチの箒がシェゾの顔を殴った。
―――――
ウィッチさんお名前ネタ。
一人前になって名前を貰っても、まだシェゾやみんなに甘えたい節があるウィッチさん、
いいなあと思いまして書きました。
「ようやくお前も一人前だな」
周りの溢れんばかりの人に祝福される一人の少女。
いや、少女と言うには少し成長しているかもしれない。
長い金髪に昔と変わらない紺色のワンピースを着こなすその少女。
「ありがとうございます、みなさん」
おしとやかに笑うその笑顔はいっぱしの女性だった。
ウィッチと呼ばれていたその女性はちきれんばかりに
大きい拍手と喜びの声と祝福を受ける。
今日、ウィッチの名前を捨て一人前の魔女になった。
新しい名前は可愛らしいとっても素敵な名前。
何もかもが嬉しさに包まれているように思える。そう思えた。
「あら、シェゾさん」
「よお」
楽しい宴も酔っぱらいが溢れてきたころ。夜風に当たろうとシェゾがベランダに出るとそこには****がいた。
「お前も風に当たりに来たのか?」
「ええ。騒がしいのは好きですが…今回は特に大騒ぎですわ」
「それだけお前の成長が嬉しいんだろ?」
改めて、自分がどれだけ想われていたかが分かった。
一時期友達が少ないと嘆いたこともあったが、こんなにもよい仲間に巡り会えた。
そしてその仲間がいつも呼んでくれたあの名前…
ウィッチが話を切り出す。
「シェゾ、さん」
「なんだ」
「私、この名前似合ってます?」
シェゾが****を向いた。
満面の笑みとは違う、どこか含みを効かせた笑みを浮かべている。
昔のウィッチにはできなかったに違いない芸当だ。
シェゾはその事実に成長を感じる。
だからウィッチではない新しい名前もそれにふさわしい。
「ああ、****」
シェゾは新しい名で呼んだ。
その瞬間、****は寂しげな表情に変わった。
「…どうした?」
「いえ」
****がベランダの柵に手をおき、夜空を見つめた。
夜空の星は連なって綺麗に輝いている。
「嬉しいはずなのですが…なんだか寂しいですわ」
「………」
「今まで散々アルルさんやシェゾさんにワガママを言って、つまらない意地を張って助けてもらったりしたウィッチはもういないって」
(ウィッチ!またキミは実験でとんでもないものを!)
(ちょっとウィッチ!サタンさまにこんな薬飲ませられるわけないでしょ!)
(ウィッチ!ウィッチ!ウィッチ!)
「これからみなさん私のことを****と呼ぶんですもの…なんだかウィッチがいなくなってしまったようで寂しいですわ」
「ウィッチ」
ふいに、ウィッチと呼ばれてつい****がシェゾを見る。
その言葉はすとん、と心の中に入り、懐かしい響きを思わせる。
シェゾは****から視線を外すと、ゆっくり言葉を紡いだ。
「言っとくが、俺はまだまだお前を一人前とは思ってない」
「シェゾ?」
「世界にはいろんな謎も知識も溢れてる。長年生きてる俺だって、まだ世界には飽きていないんだ。
サタンほど生きればもうわからんが」
そしてシェゾが微かに笑った。
「それに、この間薬の調合を失敗したのが店の外から見えた」
「ま、…あれを見てたんですの」
「まあな」
夜の風が二人の肌をなぜる。
高揚と火照った身体にそれがとても心地いい。
数瞬の間をおいて、シェゾが言う。
「だからなんだ、お前はまだまだ甘いところがある。人前でないなら…ウィッチと呼んでやらなくはない」
「シェゾ…」
まだまだ自分は、シェゾの前では半人前の魔女なのだ。
その事実に不思議と、ウィッチは嬉しかった。
それでもウィッチは、もう半人前じゃないということをシェゾに伝える。
自分はもう立派な一人前の魔女なのだから!
「ふふっ。ウィッチと呼ばれるほど私はひよっこじゃありませんことよ」
「へえ。最近まで俺に泣いてすがってたくせnぐはあっ!!」
「~~~バカッ!!」
ウィッチの箒がシェゾの顔を殴った。
―――――
ウィッチさんお名前ネタ。
一人前になって名前を貰っても、まだシェゾやみんなに甘えたい節があるウィッチさん、
いいなあと思いまして書きました。
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